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第8話 「すきまをうめて健康増進!」

こんばんは~、おじゃましてもいいですか、、、。

いらっしゃいませ!
沢辺さんどうしたんですか、「おじゃましてもいいですか」だなんて!?

うん、もう夏が終わっちゃうと思うとなんだか切なくてね。
心にすきまが出来たって言うか。屋内プールの水もすっかり秋の色だよ。

あら、意外に沢辺さんは詩人なんですね!生ビールにしますか?

もちろん!今日はすきまをビールでうめようと思って来たんだよ!

そうこなくっちゃ! マスター、生一丁!

ぐはー!
う~ん、このすきまに沁みわたる感じ、いいね~!

いらっしゃいませ、沢辺さん。少し夏のお疲れも出ていらっしやるのではないですか?
今日は夏バテ回復におすすめの「辛子蓮根(からしれんこん)」をご用意しています。
お召し上がりになってみてはいかがでしょうか。

いいね!それをいただきます。

辛子蓮根お待たせしました。

うん!サクッとした歯触りと、辛子の刺激がいいね。ビールにもよく合うよ!

でしょ!食欲もわいてきますよね。熱々のご飯と食べたいくらい!

一通りつまみ食いしている波ちゃんが言うんだから間違いないね!

いえいえ、そこですか!?

沢辺さん、蓮根には増血作用があり辛子には食欲増進作用があります。
特に蓮根は秋口から冬にかけてが旬となりますので、ちょうどこの時期、夏バテの回復におすすめなんですよ。

なるほどね~。
蓮根の穴に黄色い辛子がつまっているのも見た目にも面白いね。

そうですね。
最初に考えた人はよほどのアイデアマンだったんでしょうね!

辛子蓮根はもともと熊本の郷土料理で、江戸時代に病弱だった藩主の滋養強壮のために献上されたのが始まりだそうですよ。そしてその断面が藩主の家紋に似ていたために門外不出の料理とされ、明治になってから一般に製法が広まったとも言われています。その他にも蓮根は穴のあいている様子が「先が見通せる」に通じるとのことで縁起物とされ、お正月のお節料理なんかにもよく使われますね。

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そうなんだ~、滋養強壮になっておまけに縁起物だなんていいことづくめだね。
でもどうやって蓮根の穴に辛子を詰めるのかな?

はい、作り方はそんなに難しいものではありません。
15㎝ほどの長さに切った蓮根を熱湯でゆでたあとザルにあげて水気を切ります。
穴につめる具は炒ったおからに白味噌、和辛子などを合わせて練り上げたものですが、それをバッドの上で山にしておき、そこに蓮根の切り口を押し付けて穴に詰めます。そうして蓮根に衣をつけて油で揚げ、その後輪切りにすると蓮根の白に辛子味噌の黄色が映える辛子蓮根となるわけです。

沢辺さん、生ビールと辛子蓮根で心のすきまもうまりそうですね!

まったくだね!すきまをうめて健康増進、食欲の秋に突入かな?

建物も同じですね。
すきまが出来たらそれをうめなくては建物そのものの健康に関わります。

なるほど、この前やったコンクリートのひび割れ補修の話だね。
第3話「味のしみた煮物」参照

はい。
コンクリート自体の収縮・膨張による微細なひび割れは表面的な補修だけで大丈夫なことも多いですが、大きなひび割れや地震など外部からの負荷により出来たひび割れは、構造物の鋼性や強度の劣化を伴っている事が考えられます。そのような場合はより専門的な技術で「すきま」をうめることを考えなくてはなりません。

俺みたいにビールを流し込めばすきまがうまるって訳にはいかないんだね。

はい。いえ、ええと、具体的には「IPH工法」という特許取得の工法があるのですが、ひび割れたコンクリートの内部でゆるんだ骨材の微細なすきまや鉄筋の表面まで、広範囲に結合剤を注入・浸透させることにより、表面的な修復にとどまらず、抜本的に躯体強度を回復させるものです。

マスターの建物豆知識

IPH工法(内圧充填接合補強工法)とは?

地震被害等を受けたコンクリート構造物の復旧や、既設構造物のひび割れ補修・改修方法として多用されていて、コンクリート本体の健全性を高める画期的なシステム。特許取得の結合剤注入工法により、内部の緩んだ骨材のすきまを通じ広い範囲を浸透接合可能で、設計基準強度の回復も期待でき耐久性の向上も期待できる。

(IPH工法 詳しくはこちら:https://www.tokyo-aqua.co.jp/business/leak/iph

蓮根の奥まで辛子味噌を詰め込むようなものかしら?
輪切りにした時に辛子味噌がすかすかだったら見た目にも残念ですものね。

うーん、ある程度の圧力をかけて中まで注入するという意味では同じかな。IPH工法では注射器のような形をした特殊な器具で、一定の低い圧力をかけ躯体内部の空気を抜き取り、結合剤をコンクリート内部へ注入していきます。そうすることで圧力だけではなく、毛細管現象も活かされ、より微細に躯体内部全体に結合剤が浸透し、鉄筋・骨材・コンクリートが一体感を持って強度を増すのです。しおれかかったレタス菜などを水の入ったコップに挿しておくとシャキッとしてきますよね。そんな様子に例えてもよいかもしれません。

なるほど!それなら安心だね。レンコン工法で建物も夏バテ解消ってとこかな。

あら、レンコン工法なら建物じゃなくて沢辺さんの強度回復ですよね!?

確かに!

でもIPH工法はどこの業者でも出来るというものではありません。注射器のような特殊器具を何本も躯体へ打ち込むのですが、やみくもにたくさん打てばよいというものではないのです。躯体内部の状況を的確に把握したうえで、より効果的な注入箇所を計算して施工しなくてはなりません。結合剤も適切な濃度で注入しなければ必要な箇所に行き渡りませんし、その圧力にも注意が必要です。

なるほど!
うまいもの喰いたければマスターのところへ来いってのと一緒だね。

いえいえ、恐れ入ります。
専門の施工業者の協会もあったりするので業者選定の参考にするのもよいかもしれませんね。

よーし、今夜は徹底的にすきまをうめるぞ!生ビール、おかわり!!

マスター、大生一丁!

はいよ!


(帰り道)

人それぞれ、色々なんだろうな~。すきまをうめるものって。
明日も頑張ろっと!


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辛子蓮根、大好評でしたね。しばらく定番になりそう!

うん、郷土料理にはストーリーがあるからおすすめもしやすいしね。
(そんな物語がお腹だけでなく心も満たすんだろうね)

<第8話 完>

※本ストーリーはフィクションであり、実在の人物・団体との関係ありません。

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